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プロジェクト1

『次世代Web技術』


キー本研究のキーワード
【Web】【Semantic Web】【E-Learning】

インタビュービデオはこちらからご覧いただけます。

■ 研究者

萩野 達也 環境情報学部教授兼政策・メディア研究科委員
服部 隆志 環境情報学部 助教授



■ 研究内容の概要:

次世代のWeb技術として注目されているSemantic Webに関して、色々な観点から研究を行っている。特に教育分野においてSemantic Webを使ってどのようなことが可能かを探っている。Semantic Webでは、あらゆることが自動化される理想のシステムとして描かれることが多いが、現実にはまだあまり普及していない。普及していない理由としてはメタデータがあまり付加されていないという点がある。 本研究では教育教材にたいしてメタデータを付加し、実際にどのようなことがSemantic Webで可能になるのかをシステムを実際に構築することによって試している。



■ 研究内容の詳細:

Web上には無数のHTML文書があるが,それらは人が読むためにあり,機械的に処理するには難しい。Semantic WebではこれらのWeb上のオブジェクトに機械的処理可能なメタデータを付加し,それを使ってあらゆる処理を自動化しようとしている。教育分野においても教材はWeb上にどんどん置かれるようになってきているが,これらにはメタデータがまだ付けられていない。本研究では,教材にメタデータを付加し,それを利用した自動化について考えている。

たとえば、各教材に前提となる概念と,その教材によって学習することのできる概念のメタデータを付加すると,個々の学習者の理解度をテスト等によって調べることによって,その学習者がどの教材を勉強すれば良いかを提案することが可能である。さらに,教材を勉強した後にもう一度テストを行い理解度を調べることにより,その教材がどれほど有効なものであるのかを調べることも可能である。短い時間であることを勉強したいときには,最適な教材の配置や,知識を幅広くするにはどのようになるのか,知っていることをさらに深めるにはどうしたら良いのかなどを計算することができる。

また,このアイデアを電子マニュアルに適用もしてみている。マニュアルは分厚くなる一方であり,いざ分からないことを調べたとしても,そこに書かれていることを理解することができない。マニュアル内の説明自身の相互関係をメタデータとして抽出すれば,マニュアルに書かれていることを理解するためにマニュアルのどの部分から読めば良いのか,一番最適なものを示すことができる。

これらの例ではSemantic Webの真の効力はまだ示すことができない。ある一つのアプリケーションに閉じたメタデータの利用では,従来までのシステムと本質的に異ならない。Semantic Webの真価は,複数のシステムのメタデータを結び付け,複数にまたがる作業を自動化することによって発揮することができる。

教育教材の場合だと,単に教材だけでなく,時間割りや,教員に関するメタデータなどを組み合せた推論を行いたい。そのためには,教育システムにおいてメタデータを公開する必要がある。現在の教育システムは特定のデータベースを使っており,そのデータはWebに対して公開されていない。今後は,このシステムを作り替え,メタデータを色々なシステムで利用可能にし,どのようなことが可能になるのかについて研究をしていきたい。

スライド1

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■ プロジェクト1(次世代サイバースペースインフラとガバナンスの研究グループ)における本研究の位置付け

研究室ではソフトウェアの中でも基盤となるシステムについての研究を行っている。OSの研究や,分散処理システム,Webシステムなどの色々なシステムの基盤となるシステムについて取扱っている。Webに関しては,標準化活動としてWorld Wide Web Consortium (W3C)のホストを行っている。Semantic WebはW3Cにおいても標準化や色々なアプリケーションなどを開発しており,本研究もその一部である。



■ 研究の発展方向

Semantic Webを応用した教育システムを作成することによって,Semantic Webの有効性を示していきたい。



■ 関連URL

萩野研究室
http://www.tom.sfc.keio.ac.jp/

World Wide Web Consortium
http://www.w3c.org/