title


プロジェクト1

『グローバルネットワーク社会における情報格差の是正と国際協力』


キー本研究のキーワード
【情報格差】【国際協力】【情報化】【ガバナンス】

インタビュービデオはこちらからご覧いただけます。

■ 研究者

草野 厚 慶應義塾大学総合政策学部教授
山本達也 慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科
戸田淳子 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
我那覇圭 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
古川園智樹 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
岡本岳大 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
長井祐介 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科



■ 研究内容の概要:

 先進諸国は、途上国内および途上国と先進諸国に生じる情報格差を解消するために、具体的にどのような協力を行っているのであろうか。その協力はどのような戦略に基づいて行われているのであろうか。その協力は本当に順調なのであろうか。以上のような問題意識の下、本研究は、情報技術の発展に伴い途上国内そして途上国と先進国間に生じる情報格差(Digital Divide)の現状を調査し、格差の是正に向けた国際協力のあり方を模索するものである。



■ 研究内容の詳細:

 情報技術の急速な発展、特にインターネットの普及によって、「ICT革命」と呼ばれる新たな事態が生じている。この産業革命以来の急速な変化は産業・社会に様々な恩恵をもらす一方で、こういった恩恵にあずかれない人々も生じてきた。ICTを利用できる人とできない人の間に新たな格差を引き起こし、さらに既存の格差をさらに広げることが懸念されてきたのである。しかも、インターネットの全世界的な普及によって、この情報格差が国内的な問題だけにとどまらず、全世界的な問題となってきている。
 この情報格差を解消するために、2000年に沖縄で開かれた先進国首脳会議(九州・沖縄サミット)において「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」が採択された。日本は国際的なデジタル・デバイド解消に向けた取り組みとして、5年間で合計150 億ドル規模の包括的支援を行うことを表明した。先進諸国が、公式の場でそろって国際的なデジタル・デバイドをグローバルな問題と認識し、協力して取り組んでいくことを確認したのは、事実上、九州・沖縄サミットが初めてであり、その意味で各国がICT支援に本格的に取り組み始めたのが2000 年であったといえよう。この憲章に基づき、デジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース)が設立され、活発な活動を行っている。
 以上のような事態の中、先進諸国は途上国内および途上国と先進諸国に生じる情報格差を解消するために、具体的にどのような協力を行っているのであろうか。その協力はどのような戦略に基づいて行われているのであろうか。その協力は本当に順調なのであろうか。以上のような問題意識の下、本研究は、情報技術の発展に伴い途上国内そして途上国と先進国間に生じる情報格差(Digital Divide)の現状を調査し、格差の是正に向けた国際協力のあり方を模索するものである。
 現在までの研究成果は以下のようになっている。
 2000年度の調査では、バングラデッシュとタイという、貧困レベルの異なる2国における、情報技術の現状の把握につとめ、情報格差の是正にむけての国際協力の可能性を探った。
 2001年度の国内調査では、2000年7月の九州・沖縄サミットで発表されたIT憲章で約束された150億ドルのIT支援の現状を把握につとめた。各省庁がどのようにIT政策をすすめ、抱えている課題とは何かを調査した。そして海外調査では、米国、ワシントンD.C.において、IT支援の国際連携を調査するために、USAID、NGO、世界銀行、在米日本大使館の関係者にヒアリングを実施した。
 2002年度の調査では日本と中東(シリアとヨルダン)を事例として取り上げた。日本に関する調査では、日本が情報化を進めた際における政府と民間の役割をそれぞれ明らかにした。中東に関する調査では、IT途上地域である中東の情報化の現況、今後情報化を進めていくための政策、中東の情報化のために国際機関によって行われている支援の内容を明らかにした。これらの調査を基に、日本が中東に対してどのような支援を行うことが可能であるかを考察した。



■ 関連URL:

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス・草野厚研究室
HRCプロジェクト調査報告
http://fdr.sfc.keio.ac.jp/HRC/