title


プロジェクト1

『広域環境におけるインターネットインフラストラクチャ技術の研究』


キー本研究のキーワード
【インターネット】【衛星通信】【マルチキャスト】【QoS】

インタビュービデオはこちらからご覧いただけます。

■ 研究者

村井 純 環境情報学部教授
楠本博之 環境情報学部助教授
中村 修 環境情報学部助教授
重近範行 環境情報学部専任講師
南 政樹 環境情報学部専任講師
渡部陽仁 大学院政策・メディア研究科特別研究助手
Achmad Husni Thamrin 大学院政策・メディア研究科
西田視磨 大学院政策・メディア研究科
藤枝俊輔 大学院政策・メディア研究科



■ 研究内容の概要:

本研究テーマでは、衛星通信回線を用いた広域インターネットインフラストラクチャの構築に関する技術研究を行っている。

衛星通信回線には電話回線等の地上の通信インフラストラクチャ(以下、インフラと略す)と比較して、広域性、同報性に優れているという特徴がある。これらの特徴を持つ衛星通信回線を用いて広域インターネットインフラを構築することにより、地上の通信インフラだけでは実現が難しかった発展途上国へのインターネット接続環境の提供や、大規模な広域マルチキャスト通信サービスが実現可能となる。

本研究では、実際に衛星通信回線を用いた広域インターネットバックボーン(世界初)を東南アジアの発展途上国間に構築し、それをテストベッドとして利用して技術的諸課題の研究を実施している。大規模マルチキャスト通信などの新しいサービスを実際にユーザに提供し、フィードバックを得ながら研究を遂行している。

ai3net-bdl

ai3net-udl



■ 研究内容の詳細:

本研究テーマでは、衛星通信回線を用いた広域インターネットインフラストラクチャの構築に関する技術研究を行っている。衛星通信回線には電話回線等の地上の通信インフラストラクチャ(以下、インフラと略す)と比較して、広域性、同報性に優れているという特徴がある。これらの特徴を持つ衛星通信回線を用いて広域インターネットインフラを構築することにより、地上の通信インフラだけでは実現が難しかった発展途上国へのインターネット接続環境の提供や、大規模な広域マルチキャスト通信サービスが実現可能となる。ところが衛星通信回線には、地上のインフラと比較して帯域あたりのコストが高い、利用できる帯域が狭いなどの短所もある。

本研究で実施している研究は、次の2種類に大別できる。
  • ユーザに衛星通信回線の短所を感じさせないための技術開発
  • 衛星通信回線をインターネットの通信インフラとして用いることにより、実現可能となる新しいサービスに関する技術開発
上記1に該当する研究としては、次のようなものが挙げられる。
  • 実トラフィックに応じて動的に衛星通信回線の帯域幅を制御するシステムの開 発
  • 衛星通信回線を用いたインターネットバックボーンに適したQoSの研究
  • 受信専用地球局、片方向衛星通信回線、地上の通信インフラを組み合わせた非 対称双方向通信技術の開発
上記2に該当する研究としては、次のようなものが挙げられる。
  • 片方衛星通信回線上でのPIM-SM利用に関する研究
  • SSM (Source Specific Multicast) の開発
 本研究では、実際に衛星通信回線を用いた広域インターネットバックボーンを東南アジアの発展途上国間に構築し、テストベッドとして利用して技術的諸課題の研究を実施している。テストベッドの運用と、それを利用した研究で東南アジア諸国の研究者とコラボレーションするためAI3 Project (Asian Internet Interconnection Initiatives Project, http://www.ai3.net/) を設立した。本プロジェクトには東南アジア諸国の大学および国立研究機関が加盟しており、テストベッドの運用と上述の研究開発を共同で実施している。

 AI3のテストベッドは、研究開発に利用されているだけではなく、実際のインターネットバックボーンとしても利用されており一般のユーザもいる。開発した新しい技術をいち早くテストベッドに導入し、ユーザからのフィードバックを得ながら研究を遂行している。東南アジア諸国の一般ユーザとのコラボレーションにより行われている研究に「片方衛星通信回線上でのPIM-SM利用に関する研究」がある。片方向衛星通信回線上でPIM-SMを用いた大規模広域マルチキャスト通信網を構築したところ、AI3のユーザであるSOI-ASIA Project(http://www.soi.wide.ad.jp/soi-asia/)が日本の大学から東南アジア諸国の大学に対して講義のマルチキャスト配信を行う際にこの通信網を利用した。このように実ネットワークを運用しながらユーザとコラボレーションすることにより、世の中で実際に役立つ技術を効率的に開発できる。



■ プロジェクト1(次世代サイバースペースインフラとガバナンスの研究グループ)における本研究の位置付け

本研究テーマで構築した衛星通信回線による広域インターネットバックボーンは、サイバーインフラ&ガバナンスを支えるデジタルコミュニケーションインフラストラクチャとして主にアジア地域と日本を直接結んでいることから、ハイテクリサーチセンターだけではなく、塾内および塾外においても非常に高い頻度で活用されている。すなわち、この研究成果によってサイバーインフラ&ガバナンスだけではなく、ハイテクリサーチセンターの活動をコミュニケーションの面で支えていると言える。



■ 研究の発展方向

 本研究の成果を活かして衛星通信回線を利用したインターネットを世の中に浸透させ、地上の通信インフラだけで構成されている現在のインターネットでは実現が難しいサービスを普及させていく。また発展途上国へのインターネット接続環境の提供を通して、いわゆるデジタルデバイドの解消にも貢献できると考えている。



■ 関連URL

Asian Internet Interconnection Initiatives Project
http://www.ai3.net/