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プロジェクト1

『Smart Furniture for Everyday Life
〜知的情報環境コンピューティングインフラの応用技術〜』


キー本研究のキーワード
【ユビキタス】【知的情報】【情報家電】【センサネットワーク】【アドホックネットワーク】【位置情報管理】【ネットワークヘテロジニティ】【移動透過性】【センサーフュージョン】【サービス合成】【ホットスポットサービス】【モバイルエージェント技術】【サービス変換】【モバイル端末】

インタビュービデオはこちらからご覧いただけます。

■ 研究者

徳田 英幸 慶應義塾大学 環境情報学部 教授
高汐 一紀 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 プロジェクト助教授
中澤 仁 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 SFC研究所訪問研究員

岩本 健嗣 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程3年
永田 智大 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程3年
岩井 将行 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程2年
由良 淳一 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程2年
松宮 健太 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程1年
間  博人 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程1年



■ 研究内容の概要:

本プロジェクトでは、知的情報環境 (Smart Space) において、ユーザとデバイス間のインタラクション(Human-to-Device Interaction)にもとづく次世代コンピューティングの実現に向けて、その基盤技術の開発と応用技術研究を行う。多様なセンサやデバイスとそれらのネットワークがユーザを取り巻く空間内に埋め込まれるSmart Spaceは、実験装置 "Box-in-the-Box"において成果を挙げている。建物として構築されたSmart Spaceを用いるだけでなく、低コストに家具やインテリアの一部として必要な数だけ設置することで、その場が "どこでも"知的空間になるSmart Furnitureの研究をおこなっている。また、Smart Furnitureの応用技術を含めたさまざまなアプリケーションを開発している。 Smart Furniture内には、計算機やカメラ、ディスプレイ、位置情報や温度などのセンサ類が内蔵されており、無線ネットワークインタフェースによって他のSmart Furnitureとの通信を実現する。Smart Furniture間は自律的に相互を認識し、ユーザ支援のためのSmart Spaceを構築できる。さらに、Smart Furnitureを用いた、人間支援のアプリケーションや、公共サービスアプリケーションの開発、エンターテイメントアプリケーションなどを研究開発中である。



■ 研究内容の詳細:

1. ハードウエアインフラストラクチャ
1.1 Smart Space

計算機およびネットワーク技術の発達は、情報処理能力が環境中に遍在する新しいコンピューティング環境を実現しつつある。計算機の高速化および小型化によって、PCやワークステーションといった従来型の計算機に加え、ノートブック型PC、PDA、WC (Wearable Computer)や、情報家電機器、各種センサなど、多様なデバイスが登場している。各ユーザが携帯するデバイスに加えて、オフィス、家等におけるユーザの身の回りの多様なデバイスが、それぞれ情報処理能力を獲得しつつある。また、多様な有線および無線ネットワーク技術の登場は、それらデバイスの相互接続を実現している。Ethernet、IEEE 802.11無線LAN、RS-232C、IEEE 1394、IrDA、Bluetooth等、多様なネットワーク媒体やプロトコルによって接続された、動的かつ異種プロトコル混在型のネットワーク (ヘテロジニアス・ネットワーク)環境が登場している。

このような環境では、情報処理能力は、ユーザの各端末といった特定の機器よりも、ユーザのいる空間を含む、環境全体に埋め込まれた形で存在すると考えることができる。このような情報処理能力を備えた知的な空間を、本プロジェクトでは "Smart Space"と呼ぶ。本プロジェクトでは、ユーザとSmart Spaceのインタラクションによる次世代コンピューティングの実現を目標として、実験装置、ネットワーク環境、およびその上でのミドルウェア・アプリケーションシステムを研究開発している。

特徴
本プロジェクトの特徴の第一点は、Smart Spaceおける物理環境から、ネットワーク環境、ミドルウェア、およびアプリケーションまでの縦断的な研究開発であり、各研究項目間での研究成果のフィードバックを可能とする。第二点は学問領域を越えたコラボレーションである。Smart Spaceの実験装置であるSSLabの設計、施工には、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 池田靖史研究室、池田靖史建築計画事務所、株式会社秀光の協力を得ている。
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SSLab物理環境

SSLabの物理環境である、SSLab実験装置 "Box-in-the-Box" (以下BinB)は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、徳田研究室内に建設された。Smart Spaceの物理環境を実現するために、SSLab実験装置に関する要件として以下の3点を考慮し開発した。
  • デバイス埋め込み機能
    空間を構成する壁、床、天井の内部に、各種デバイス、センサ、およびそれらのネットワーク等各種配線を埋め込む機能が必要である。
  • 拡張性
    装置内で行われる様々な実証実験等の利用用途に応じて、装置本体、および装置への多様な機材設置に関して拡張性が必要である。
  • 再構成性
    利用用途ごとの物理環境への要求変化に応じて、壁面、部屋の構造等、容易に再構成可能な装置が必要である。


1.2 Smart Furniture

Smart Furniture は空間を即興的に知的化する機器である。近年、多数の計算機が遍在する環境が実現しつつある。また、それら計算機が利用するネットワークの整備も進んでいる。しかし、既存のネットワーク基盤は単にインターネットへの接続性のみを提供する。ユーザが周囲の機器を利用してより多様なサービスを亨受する環境が必要である。Smart Furniture は光やセンサなど多様な入出力機能を利用して様々なサービスを提供する。以下ではSmart Furniture の物理的な構造とミドルウェアについて述べる。

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SSLab物理環境

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Smart Furniture は、多様な環境に適用するため、複数の物理構造を持つ。現在構築したのはポール型、ライト型、鏡型である。これらの物理構造は、既存の空間に違和感なく適用でき、ユーザに計算機の利用を意識させずにサービスを提供することを目的としている。
ポール型はポール本体と円形のベースから構成される。廊下や通路、建物の出入口などへの設置を目的とする。ベースにはノートPC を埋めこめる。入出力機能としてディスプレイ、スピーカ、カメラ、各種のセンサを提供する。スピーカやセンサは取り外し可能なモジュールに入れて取り付けられる。ポール上部にはこれもセンサを取り付けるためのアーチを設置できる。

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ライト型はLED を登載した棒状の発光部分とベースから構成される。廊下や通路、部屋などへの設置を目的とする。出力機能として光情報を提供する。発光部分は6つに分割されており、それぞれ異なる色に発光させられる。情報を光にエンコードすることで、直感的で共有可能な表示方法が実現できる。現在、発光部分の制御はRS-232C を利用してライト型の外部にある計算機で行っている。この制御部は近い将来ライト型本体に埋めこむ予定である。

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鏡型はハーフミラーの表示部を持ったケースから構成される。ケースにはPDA(Personal Digital Assistance) が埋めこめる。洗面台付近や建物の出入口への設置を目的とする。電源を切った状態では鏡として利用でき、電源を入れ、PDAのバックライトが発光するとその画面が鏡中央に表示される。ハーフミラーは樹脂性で、入力としてPDAのタッチパネルが利用できる。鏡型は情報の表示や他の機器の操作などに利用できる。


2. ミドルウェア

Smart Furniture のミドルウェアとしてこれまで慶應義塾大学徳田研究室で開発されたミドルウェアを移植して利用している。現在はVNAとWappletを利用している。これらのミドルウェアは、機器同士の協調を支援する。
VNAは機器の機能を統合するミドルウェアである。Serdget と呼ばれるソフトウェアコンポーネントを提供し、Serdget 同士は入出力ポートを介して通信を行う。VNA は機器の機能を組み合わせた仮想的な機器を定義する。Serdget をノード、それらの間のメッセージパスをエッジとしたグラフとして定義される。ユーザはVNA をVNA Runtime で実行することにより、仮想的な機器を利用できる。Smart Furniture では、環境内の機器とSmart Furniture が協調動作する際に利用する。
Wapplet はモバイル機器を他の機器と協調動作させるためのフレームワークである。Wappletを用いて構築されたアプリケーションは、Wapplet モジュールと呼ばれる移送可能なモジュールに分割される。Wapplet モジュールは機器に移送され、実行される。携帯端末で動作するコントローラが機器を検索し、どの機器に移送するか決定する。Smart Furniture では、ユーザの携帯端末とSmart Furniture が協調動作する際に利用する。



■ 研究の発展方向

今後は、本研究によって構築したSmart Spaceおよび、Smart Furnitureのインフラストラクチャを元に応用アプリケーションをさらに開発し、広く実証実験を行う。実証実験の成果をSmart SpaceとSmart Furnitureにフードバックさせ、自発的な知的情報環境の研究へとつなげていく。



■ 関連URL

徳田研究室
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp

MKGプロジェクト
http://www.mkg.sfc.keio.ac.jp/

Home Project
http://www.mkg.sfc.keio.ac.jp/dotthome/

RT-HDI Project
http://www.mkg.sfc.keio.ac.jp/RT-HDI/

SSLAB Projects
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/SSLab/

人間支援のための分散リアルタイムネットワーク基盤技術の研究
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/A-PRO/

特定領域研究「社会基盤としてのセキュア・コンピューティングの実現方式の研究」
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/usc/

情報家電コンピューティング
http://www.mkg.sfc.keio.ac.jp/UBI/index.htm

論文リスト2003年
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/publication/list.cgi?2003

論文リスト2002年
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/publication/list.cgi?2002

論文リスト2001年
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/publication/list.cgi?2001

論文リスト2000年
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/publication/list.cgi?2000