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プロジェクト2

『サイバースペースにおけるバーチャル細胞の構築』


キー本研究のキーワード
【電子化細胞】【ゲノム情報】

インタビュービデオはこちらからご覧いただけます。

■ 研究者

冨田 勝 環境情報学部教授兼政策・メディア研究科委員



■ 研究内容の概要:

この10年ほどの間に、生物の理解が急激に進んでいる。特にゲノム科学と呼ばれる、遺伝子や代謝物質など細胞の持つデータを、端から端まですべて読み尽くそうとする方法論が大きく展開している。その過程から、細胞に関する膨大なデータが蓄積しており、遺伝子配列情報、発現遺伝子情報、タンパク質構造情報、代謝ネットワーク情報など、さまざまな切り口でデータベース化され、医学生物学研究者が共有できるようにサイバースペース上に公開されている。こうした情報の海から有意義な情報を抽出し、生物への理解を深めるために情報科学の応用が進んでおり、生命情報科学=バイオインフォマティクスと呼ばれている。本研究では、サイバースペース上の情報を活用しつつ、コンピュータ上にバーチャル細胞を構築することをめざす。バーチャル細胞を構築し、シミュレーションを行うことにより、細胞に関するデータに対する横断的な理解が進むものと期待される。

研究内容

ゲノム配列からモデルを生成


■ 研究内容の詳細:

この10年ほどの間に、生物の理解が急激に進んでいる。特にゲノム科学と呼ばれる、遺伝子や代謝物質など細胞の持つデータを、端から端まですべて読み尽くそうとする方法論が大きく展開している。その過程から、細胞に関する膨大なデータが蓄積しており、遺伝子配列情報に関するEMBL、タンパク質構造情報に関するSWISS, 代謝ネットワーク情報に関するKEGGやWIT、オーソロジーに関するCOGなど、さまざまな切り口でデータベース化され、医学生物学研究者が共有できるようにサイバースペース上に公開されている。

本研究では、サイバースペース上の情報を活用しつつ、コンピュータ上にバーチャル細胞を構築することをめざす。バーチャル細胞を構築し、シミュレーションを行うことにより、細胞に関するデータに対する横断的な理解が進むものと期待される。

私たちは、バーチャル細胞構築ならびに細胞シミュレーション実行のためのソフトウェア環境E-Cellを開発している。E-Cellは、ソフトウェア工学の成果を応用し、細胞の構造をオブジェクト指向で記述し、その行動を保ったままシミュレーション可能とすることを目指している。すでにバージョン1、2を公開し、現在、バージョン3の開発中である。
また、ゲノム情報を統合的に解析するためのソフトウェア環境として、G-language Genome Analysis Environment(G-language GAE)を開発している。これは、上記など生物学データのデータベースを横断的に検索、解析して知識発見を援護するための統合環境である。本年度はG-language GAEの開発により、カナダで開催された学会・ISMB(分子生物学のための知的システム)でawardも受賞し、大学院生の荒川和晴君は慶應義塾大学塾長賞を受賞した。
E-CellとG-language GAEを統合的に利用してバーチャル細胞を構築するために、G-language GAEのモジュールとして、サーバースペース上の情報から細胞モデルを構築する技術開発を進めており、そのプロトタイプのモデルを構築中である。
こうしたツール群の開発により、さまざまな医学生物学データベースが与える情報を俯瞰し、細胞あるいは生物個体を「全体」として俯瞰する視座を得られるものと期待される。



■ プロジェクト2(次世代サイバーノレッジの研究)における本研究の位置付け:

生物学的知識が網羅的に調べられ、データベース化が急激に進む現在の状況下で、膨大な情報を俯瞰し、有益な知識を発見するための方法論の開発に取り組んでいる。



■ 研究の発展方向

バーチャル細胞の基盤が確立されれば、工業利用される有益微生物のデザインや、オーダーメイド医療や創薬への展開などが期待される。


■ 関連URL

E-Cell.Org
http://www.e-cell.org

G-language.org
http://www.g-language.org